HIV感染による身体障害者認定基準について(ちょっと長文)
こんばんは、たまです。
前回の四月馬鹿のくだらないネタは置いておいて、
前々回、HIV感染者が障害者認定されるようになった経緯について書いたので、
もう少し突っ込んで、その障害者認定される法的根拠と認定基準について書いてみようと思います。
頭をフル回転させて辛抱強く読み切ってくださいw(読めば分かります…)
僕も感染が発覚してから主治医に進められるがまま障害者認定を受けたのですが、
それがどのような仕組みで認定されたのかは最近調べるまでよく知りませんでした。
主治医に促されるまま検査を受け、申請し、気が付けば3級という等級で障害者認定がなされました。
しかし、認定がなされるまでの間には、認定の根拠となる法令の規定や認定基準がしっかり存在しているのです。
まず、障害者認定の制度のベースとなるのが「身体障害者福祉法」という法律です。
この法律の第4条の「別表」で、身体障害者と認定される疾病の範囲が定められています。
(東京都福祉保健局ホームページ掲載のPDFデータより引用)
しかし、この「別表」そのものには「HIV感染」は掲げられていません。
ではどこに掲げられているかというと、この「別表」第5項の「その他政令で定める障害」にあたることになります。
この「政令」としてリンクしているのが「身体障害者福祉法施行令」で、この第36条に「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能」の障害が定められています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25SE078.html
(前々回書いたとおり、HIV感染による障害者認定は最近追加されたため、法律自体の改正を経ず政令により対処されたようです。)
だんだん複雑になってきましたw
上記のとおり、法律と政令により、HIV感染が身体障害者として認められ得ることは分かりましたが、
感染による症状が進んでどの程度症状が悪化すると障害者認定を受けられるのでしょうか。
この点もちゃんと法的根拠があり、基準が定められています。
先ほど紹介した「身体障害者福祉法」の第4条の「別表」第5項では
「永続し、かつ、日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの」
であることが要件として規定されています。
ただ、この内容では抽象的すぎますし、障害等級の基準も定められていません。
そこで、「身体障害者福祉法施行規則」の第5条第3項が「障害の級別は、別表第五号のとおりとする」と具体化しています。
この「別表第五号」では次のとおり定められています。
1級:ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活がほとんど不可能なもの
2級:ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活が極度に制限されるもの
3級:ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により日常生活が著しく制限されるもの(社会での日常生活活動が著しく制限されるものを除く。)
4級:ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F03601000015.html の一番下部の表が「別表第五号」です。)
しかしながら、まだここでもCD4の数値など、客観的な認定基準が定められていません。
この点、より具体的な認定基準は、障害者手帳の発行主体である各地方自治体がそれぞれ定めています。
例えば、東京都の場合「東京都身体障害者手帳に関する規則」によって詳細が定められており、
その第8条に「認定基準については、別紙「障害程度等級表解説」のとおりとする」とあります。
(東京都福祉保健局ホームページ掲載のPDFデータより引用)
なんだか伝言ゲームみたいですw
いよいよゴールにたどり着きますが、その別紙「障害程度等級表解説」は次のとおりです。
(読むのに疲れてしまった方も、次の認定基準だけは読んでみると興味深いと思います。)
(東京都福祉保健局ホームページ掲載のPDFデータより引用)
「CD4数が500を切ったら障害者手帳申請の準備」
とか
「障害者手帳の申請の前に期間を空けて2回の血液検査が必要」
というのも、上記の認定基準の定めに基づいてのことだったのですね。
(もっとも、解説を読むとCD4数が500を切らなくとも認定を受けることは可能なようですが、投薬開始の基準とも関連するので500が一応のラインとなっているのでしょう。)
なお、上記の認定基準は、形式的には各地方自治体が定めるものとなっていますが、この認定基準の設定においては
厚生労働省による通知である「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」
を参照していると思われますので、各地方自治体間で差異はないものと思われます(確認は取れていないので誤っていたらご指摘いただければ幸いです)。
皆さんにとって、今日1日が素敵な1日になりますように。
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