認知症を考える ~HIV関連神経認知障害・HAND~(後編)
こんばんは、たまです。
飛び石連休な今年のGW。
とはいえ、3連休後のお仕事はとっても体が重かったです。
そして明日は会社のお付き合いで森の中に潜ってきます。。。
さて、今日は前回の続きで「HIV関連神経認知障害:HAND」のことを少し書いてみようと思います。
HANDは、HIV-Assocciated Neurocognitive Disorders の頭文字を取ったもので、日本語に直訳すると「HIV関連神経認知障害」となるようです。
抗HIV薬による治療の選択肢がほとんどなかった1990年代に恐れられた、AIDSの症状が進行して発症する「AIDS脳症」のような重症例も、
現在では抗HIV療法の発展のお陰様でずいぶん発症例も少なくなったようです。
その一方で、「AIDS脳症」ほどではないにしても、進んできた抗HIV療法下においても
軽度~中度の認知障害がHIV感染者に多く見られるとの報告がなされ、最近注目されているのです。
HIVは、皆さまご存知のとおり一度感染すると身体から完全に排除することは今はまだ難しいのです。
このようなHIVの持続感染状態が原因となり、心血管疾患や骨代謝異常等の各種疾患の発生リスクが高くなる、
ということも指摘されたりしますが、このHANDもその持続感染が原因ではないかと言われています。
脳脊髄液中のHIV量を調べてみたら血液中のHIV量より多かったなどという臨床例もあるので、
血液中でHIV検出限界未満であっても、HANDに関しては安心することはできないようなのです。
各種抗HIV薬にもそれぞれ中枢神経移行の良し悪し(CPEスコア)があるので、
血液中だけでなく脳脊髄液中のHIV量を減らす観点からも抗HIV薬を開発・選択するということも今後は必要になってくるかもしれませんね。
HANDは、一般的には「重度」「軽度」「無症候性」の3段階に分類されます。
上記の「AIDS脳症」も含む「重度」は症状が重く診断もつきやすいようですが、
「軽度」「無症候性」では、単純な物忘れが多くなったり転びやすくなる程度など、
日常生活上ではHANDと自覚しづらいうえに、
加齢や他の要因との関係で何が原因の認知障害なのかを診断しづらいことがHANDの全貌を明らかにすることを難しくしているようです。
ただ、HIV感染者を対象にテストをしてみたら、軽い症状も含めかなりの割合で何らかの認知障害が見つかったというような報告もあるので、確かに関連性はあるようです。
HIV感染者にとって最も重要なのは、認知障害による物忘れは、軽度であっても薬の飲み忘れなどにつながり得るという点です。
軽度なHAND→自覚のない物忘れ→薬の飲み忘れ→HIV耐性化→HIV・HANDとも重症化
というような負のスパイラルを防ぐためにも、本人が認知障害があるかどうかを正確に知り、その対策を行うことが肝心です。
そのため、HANDの鑑別方法やスクリーニング検査について様々な研究が急ピッチで進められているとのことです。
(iPad版認知機能検査なんてものも開発・改良が進んでいるようです。)
何より、HANDの原因がHIVの持続感染であるとすれば、少しでも体内のHIV量を低く抑える、つまり体内にHIV量が多い状態で治療せずに放置する期間を可能な限り短くしたいものです。
それはすなわち、HIVの早期発見・早期治療がここでも効果を発揮するということです。
(免疫機能にしても認知機能にしても、HIVに長くさらされていると不可逆的に疲弊してしまうようですから。)
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