ヤクザもいる、明るい社会(ちょっと長文)
こんばんは、たまです。
今日はちょっとHIVとはあまり関係のない話を…
昨日水曜日はノー残業デーで、特に職場で飲みもなかったので
仕事上がりに東中野まで映画を観に行ってきました。
「ヤクザと憲法」!
「ヤクザと拳法」なら何となくありそうなタイトルだけどw
もともと、「大地を受け継ぐ」という別の映画を観ようと思って調べていたら、
たまたま同じ映画館で上映しているこの映画を見つけたという流れです。
夜間上映で時間もピッタリだったので急遽観に行こうと思い立ちました。
(「大地を受け継ぐ」は日中の上映なので、後日観に行こうと思ってます。)
ここ、「ポレポレ東中野」という約100席の小さな地下映画館なのですが、
それほどメジャーではないドキュメンタリーものの映画を中心に上映していて、
僕の興味をそそるタイトルがたくさん…。しばらく通い詰めそうです。
さて、たいそうディープなタイトルなので、失礼ながら観客は多くないと見込んでいたら、
客席は7割方埋まる盛況で、カップルやJK集団までいてとても意外でした。
内容は、某「指定暴力団」関連組員の「日常」と「現実」を実録したドキュメンタリーです。
ヤクザの内部事情については、本や雑誌で描かれたものを読んだりすることはあっても、
ヤクザが普段どんな生活を送っているのかを映像として観たことは今までなかったので、
とても新鮮でしたし、よくもまぁ撮影が許されて作品にまで漕ぎつけたものだと感嘆しました。
ちなみに、画像の真ん中の人が会長さんです。
本当に普通にそこらへんにいそうなお父さんみたいな風貌なのですが、
立ち居振る舞いがすごくカッコよくて、やっぱり威厳があって強い目力を感じました。
(そして、撮影当時61歳だったようですが40代くらいにしか見えないくらい、とにかく若い!)
元来「やくざ」は、今で言うところの地域コミュニティのセーフティネット的な存在として、
社会に適応できなかった人たちの受け皿として機能していた互助組織が起源のようです。
(今でも、そのような受け皿としての役割は生きているのではないかと思われますが。)
それが戦後に組同士の抗争やシノギ(ヤクザの収入それ自体やそれを確保するための手段)が激化し、
暴徒化する組員が増えてきて社会問題化したため「暴力団」という言葉が当てられ、
「ヤクザ」=「暴力」団=「危険」という図式が世の中に定着するようになっていきました。
特に、最近はいわゆる「反社会的勢力」の排除に向けた動きが急速に進んできています。
「反社会的勢力」と認定された組関係者は(そしてそこから脱退したとしてもそれから5年間は)
普通に生活しようと思っても、銀行口座が作れなかったり、家も借りられなかったり、
保険に入れなかったり、葬儀会場すら使えなかったり…。
確かに、組抗争が過熱する中で罪のない一般人が巻き込まれて命を落とす事件も
少なからず発生しているし、違法薬物の蔓延に加担したりする組員も多く存在するなかで、
そうした違法行為や「脅威」から社会を守っていく必要は、間違いなくあると思います。
ただ、この映画を観ていると分かるのですが、ヤクザといっても本当に色々な人がいます。
社会の中で、他にはどこにも居場所がなくなってヤクザになる道を選んだ「弱者」も多い。
そうした人たちでも「反社会的勢力」と十把一絡げにされ、締め上げられ排除を試みられる。
マクロの目で把握された「脅威」を排除するために、ミクロの世界で確かに生きている個人は忘れ去られる。
そうしたなかで表の社会と裏の社会とが造り出され、個人は裏の社会へと追いやられ
イリーガルに生きることを強いられる。
そして、規制それ自体が新たな規制の必要性を生む、そんな悪循環になっていく。
「ヤクザもいる、明るい社会」
作品中に登場したとても印象に残っている表現です。
「あー、ちょっとこの人たちと一緒やっていくのはちょっとなぁ。。。」
とは思っても、その存在自体を社会の一員としては認めて何とかやりくりして共存している社会。
構成要素の多様性をしっかり承認して包摂できる社会の方が、明るい、健全な社会である。
そのような主張を孕んだ言葉なのだと、僕は理解しています。
「反社会的勢力」という「集団」の「脅威」や危険性から社会を守る必要は、確かにある。
でもそのために、その「集団」自体をどう扱うべきなのか。排除すればそれで良いのか。
そしてその「集団」の構成員である「個」の憲法上の基本的人権をどこまで犠牲にすることができるのか。
適切な政策のあり方を探るべく、まずは腰を据えて対象の置かれている現実を、
偏見を持たず正確に把握することの重要性。
そしてその重要性は別にヤクザだけでなく、様々な社会的マイノリティーに対する
差別にもあてはまるなのではないか。
…などなどと、とりとめもなく色々と考えさせられる作品でした。
作品の切り口に対してはもちろん人によって賛否両論あって当然ですが、
個人的にはとても有意義な作品だと思いました。
皆さんにとって、今日1日が素敵な1日になりますように。
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